ネットショップにおいて常に新規顧客を獲得することは、成長性を担保することだと思われがちだ。確かにその意見は正しい、ただし、ある条件を満たしてからその意見はただしいと言える。ある条件とは何か?売上げが安定してからである。無論、立ち上げたばかりで売上げが安定しないお店では新規顧客獲得が大切になる。しかし、売上げが数万円から数十万円の間を上下している間はその前にやらなければいけないことがある。

それは既存顧客と向き合うことだ。既存顧客から信頼され、愛される存在のお店でないといけない。これはネットショップだけに言えたことではない、人間としてもそうだし一般的な事業でも言えることだ。既存顧客の離脱率を低下させ、既存顧客と良好な関係を築くことはイマイチ軽視されがちだ。しかし、既存顧客の離脱率を低下させることが経営の安定化のもっとも初歩的で重要なことだと言える。

実はこのことに気がついていたのが江戸時代の呉服問屋の越後屋(現在の三越)で顧客のこれまでの購入履歴や好みを台帳管理して、顧客に応対していた。これを米国のマーケティング学の巨人であるフィリップ・コトラーは取り上げ、マーケティングは江戸時代から日本で行われていたことだとしている。

人間関係でも同じだ。新しい友だちばかり求め、旧知の友人を大切にしない人間に何か合った時相談しようとか思うだろうか?旧知の友人を大切にする人間にこそ信頼をおくものではないか?

ネットショップは顧客の顔が見えないから、そんな対応できないと思っていないか?ネットショップだから出来ることもある。購入履歴データをさぐるとお客様がどんなものを何回買っているかわかる。セールで買ってくれているのか?プロパー料金で買ってくれているのか?購入してくれる時間帯だってわかる。ネットショップとして事業継続年数が長いと数十回買い物をしてくれている顧客もいる。そういうソフトウェアが必要なのではないかと?と思われる方もいると思うが、そんなことはない。簡単な検索でそういうことはできる。無論、そういうソフトウェアがあると随分簡単にステップメールなどを配信できる。しかし、手でも出来ることも実に多い。

これまで、そしてこれから事業を支えてくれる第三のメンバーである常連顧客をないがしろにしていないか?メルマガ会員限定という名前の適当なサービスで終わらせていないか?自社を大切にしてくれているお客様を大切にしないと、自社も大切にしてもらえない。今一度既存顧客へのサービスを考えて、既存顧客にとってより大切で特別なお店になってみませんか?