あまり具体的には多くは語りませんが、幾つかの視点でヤフーショッピングの無料化について考えてみましょう。本件は意外と視点を変えて見ないとあんまり状況が見えない話題かと思います。

 

ECモール

ヤフーショッピングはECモールという概念を超えていこうとしています。個人の出店もOK。ロイヤルティ無料。外部リンクあり。こんなの既にモールとして体をなしていません。モールとしての収益源は出店費用の固定費と売上げの歩合の2つをベースにしています。同時に広告費用、アフェリエイト費用、そしてポイントなどの販売促進費用や販売促進協力費用などがプラスアルファの売上げとしてつながっていきます。今回ヤフーはモールとして売上げの基礎となる部分を無料してしまいました。そのことによりモールという概念から一歩抜け出て、ECのインフラ提供というポジションに自らをおきました。ECプラットフォームの提供という考え方ですよね。

そうなるとヤフーはどうしなければいけないのでしょうか?ヤフーが行わなければいけないことは1つ。可能な限り流通を極大化させる仕組みをつくることです。そこで近視眼的なアプローチを行うとヤフーがトラフィックを誘導してくれると勘違いしてしまいます。あくまでもヤフーはカートを貸している立ち位置になるとしたならば、ヤフーはカート利用者にカート利用しやすい環境を提供します。勿論その中の一つにはトラフィックの誘導もあるでしょう。しかし、それ以上にカート利用者がみずから顧客を誘導しやすくする仕組みをヤフーは提供する必要性があります。

 

出店者

既にECモールとしての役割をやめたヤフーでは店子と地主の関係はありません。どちらかというとカートを利用する利用者というイメージのほうがいいのかもしれません。これまでの流れ上、出店者やマーチャントという呼び名は今後は必ずしも適応しないのではないかと思います。出店料が無料になるわけなので、だれでもわかることだと思いますが出品商品数が増加していきます。出品数が増加すれば何が起こるのでしょうか?明白です。一般的なコモディティ商品では価格競争が発生していきます。有る一部の商品群では、激しい価格競争が起きるのではないでしょうか?無料化が引き起こすことは費用の低減だけではなく、店舗運営する上での大きな環境の変化を招くことになることもイメージしないと出店者がヤフーショッピングで商品を販売し続けることは難しいと思います。

 

顧客

価格競争が起きると恩恵を受けるのは、流通構造で上流側のプレイヤーと消費者です。とりわけ消費者は送料無料でポイントが付与されることがとても重要ではありました。しかし、それは商品価格が均衡している状態において付帯サービスとしての送料無料とポイント付与が重要な購買意思決定になります。明らかに商品価格が低い場合は送料無料とポイント付与という魔法は効きません。安い商品を探しに来るユーザーにとってはヤフーショッピングの無料化は大きなメリットになるかもしれません。

周辺事業者

無料化により恩恵を受けるのは、それだけではありません。ネットショップ、カート利用者がより商品を販売しやすくなるツールの開発・コンサルティングを行う事業者の事業機会も増えていくことになると思います。ここまで無料化したビジネスにおいては、ヤフーが率先してショッピング関連の新規開発や、率先して出店者に対するフォローができるとは思えません。既に出店希望者を加えれば、楽天を超えて日本一店舗数が多いのECモールになります。ヤフー以外のプレイヤーとヤフーは協働してヤフーショッピングを切り盛りしていかない限りは難しいのではないかと思います。

まとめ

ヤフーショッピングは従来のECモールではなくなる。

ECモールでなくなった以上、出店者は意識を変えないといけない。

周辺事業者は今まで以上に、カート利用者に対するメリットあるソリューションを提供しなければならない。