CSRのコンテンツってどんなものがあるんでしょうか?今一度CSRについて再考する必要性があります。CSRっていうのはCorporate Social Responsibilities 企業の社会責任の履行です。社会って言っても広いので、企業が関わるステークホルダーと「共に」持続発展可能性を模索し、社会責任を履行するというものになります。この中でCSRは2つの側面を持ちます。1つは消極的なCSR、もうひとつは積極的なCSR。

■消極的なCSR
企業が自社の企業活動範囲の中で社会・環境に対してどのようなインパクトをどうあたえているのか?それが企業の持続性に対してリスクなのか?利益につながっているのかを算定します。その時に事業活動することでリスクになる部分、リスクを最低限算定した上で事業運営が危ぶまれる状態を避けることが必要になります。必要最低限な社会責任を全うする必要性がでてきます。これをここでは消極的なCSRとここでは言います。消極的なCSRの中には

コンプライアンス
コーポレート・ガバナンス
顧客情報管理
労働
人権
製品の安全性

など、法令や上場基準を満たすものがこれにあたります。

現在ISO26000以外のもので、国際的に投資家などがCSRを指標化し投資基準に使用しているものの一つである「GRI」でいうところの
指標プロトコル 経済(EC)
指標プロトコル 人権(HR)
指標プロトコル 労働慣行とディーセントワーク(LA)
指標プロトコル 製造責任(PR)
指標プロトコル 社会(SO)
の一部がこれにあたります。もっともこれらの最低基準のものができていないとCSRコンテンツ云々と言う以前の問題なのかもしれません。

■積極的なCSR
リスクの算定を拡大解釈し、企業活動を行うことでの影響範囲を広げて解釈します。例えば、環境が破壊されることで資源調達ができなくなる。地域社会が崩壊することで、社会基盤が崩壊する。サプライヤーが苦しむことで、安定したサプライが受けられなくなる。などです。深くリスクを算定し、それに対して着実に行動をプランし、アクションを起こし、公表する。それを見聞きしたステークホルダーから評価を得て、ステークホルダーがファンになっていくことが望ましいモデルです。リスクは常にチャンスになる可能性が存在しています。チャンスにするためにはリスクの算定が重要な鍵になります。

■CSRを支えるリスク算定の考え方
CSRリスクを上辺だけとらえ、対応することで本質的にはリスクは増大します。表層的で一時的な対応のみを考え対応しても、本質的な問題の解決にはつながりません。事業を継続する上でどのようなリスクが考えられるのか?を周到に考え対応することで、リスクはチャンスに変化していきます。
しかしながら、人的なリソースなどを含めてリソースを顕在化していないリスクに投下することのコストメリットはありません。そのことから企業のCSRが本質的に立ち後れていることも考えられます。他方で、海外の投資家は日本企業のCSR対策について厳しい視線を送るようになってきているのも確かです。

■リスク算定のケーススタディ
次回からCSR関連の記事は数回にわたり、上場企業のCSRリスク算定を実施し、どのようなリスクが各企業の持続発展可能性を阻害する要因になりうるのかを検討します。次回はインターネット産業の雄の某企業のCSRマネジメントについて言及してみます。