楽天CSR
楽天CSRのホームページのコンテンツを見ていて、あれ?なんだか気持ち悪いぞ?と思うことがありました。なんだか腑に落ちないというか理解できないことがありました。それはCSRとしてのサプライヤー・パートナーに対する取り組みについてです。
サプライヤーと共に企業の社会的責任を全うし、共に持続発展することがCSRにおいて求められます。その際にどんなことがサプライヤーに対して実行できるCSR活動になるのでしょうか?楽天では楽天市場出店者に対してパートナーカンファレンスというものを実施されています。そこでは、出店者に対して出店者が持つ悩みを解決するためのTIPSを公開するということで、色々な講座をおこなっています。
気になる点1 ビジネスパートナーと顧客の混同
出店者はビジネスパートナーであるという認識をもっているような表現になっているが、実際は出店者は楽天にとって「顧客」である。出店者「顧客」との健全な関係性の維持という側面では正しいが、ビジネスパートナーという観点ではズレがあるのではないかと思う。
気になる点2 サプライヤーマネジメントの本質的な不理解
通常サプライヤーマネジメントというコンテンツはSA8000に代表されるようなコンテンツをいう。SA8000とは、製品やサービスの倫理的な調達を保証する規格のことをいう。内容としては、①世界人権宣言、②ILO(国際労働機関)の協定、③子供の権利に関する国連協定、の3つ要素をベースに9つの要求事項を規定しています。
1.児童労働の禁止(最低年齢)
2.強制労働の禁止
3.労働者の健康と安全
4.結社の自由と団体交渉権
5.差別の禁止
6.懲罰の禁止
7.適正な労働時間
8.適正な報酬(最低賃金)
9.持続的改善のためのマネジメント・システム
楽天CSRにおけるサプライヤーマネジメントはこれらのコンテンツについての話ではなく、ビジネスパートナーとの情報共有、ビジネスパートナーによる環境保全活動そしてビジネスパートナーによる社会貢献活動をとりあげている。この点においても一般的なCSRとは異なるものになっている。
本来このSA8000的なアプローチは楽天市場のような事業にはそぐわないのかもしれないが、急激に雇用を生み出した楽天市場などではこれらのサプライヤー・パートナーの就労環境改善により、より健全な日本のECの成長を目指すようなコンテンツの方が本来に意味では求められているような気がしないでもない。
気になる点3 パートナーカンファレンスはそもそもCSR活動なのか?
パートナーカンファレンスの実態は事業だということです。パートナーに対面方式で情報を伝えることがCSR(企業の社会的責任)ということをうたっていらっしゃいます。それが本当に社会的責任であれば、より広く多くのパートナーに対して告知していかないといけないはずですが、パートナーカンファレンス自体が参加費用をとり、スポンサーからスポンサー費用を得ていて、来場したお金を支払った顧客のみに提供する事業行為です。この事業行為をCSRというのはちょっと厳しいと思わざるをえません。
とは言うものの、楽天のCSR自体が実はCSRというよりも自社の会社案内になっていて企業の社会的責任とか、企業の持続発展についてのコンテンツがないものです。彼らのいうCSRはインターネットを通じ人や社会を「Empowerment」(エンパワーメント)する「日本を元気に。世界を元気に。」することだとしています。社会的な責任性についてでなく、会社自体のミッションになっている状態です。本来はミッションとCSR方針は別にたてるべきなのでしょうが、そういう方針ですので、楽天流CSRにおいては恐らくサプライヤー・パートナー・顧客も一緒でいいのでしょうし、CSR方針もミッションでいいのだと思います。
ただし、グローバルな観点においてのCSRでは箸にも棒にもかからない状態にあるということは楽天の中の人も外の人も認識しておいたほうがいいのかもしれません。
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