情報通信会社A社は米国B社の世界的ヒット情報端末を販売していた。しかしながら、日本国内での販売はA社限定ではなく、C社も販売しているのでC社とあらゆる側面で競争しながら販売をしなければいけない状況であった。価格・サービス・情報端末の電波の強さなど同一商品での競争になるので、全ての面での徹底した競争を強いられることになった。

A社はGRIのG3を参考にしたCSRレポート作成を行うほどCSR活動も活発に行なっていました。CSRレポートの中ではCSポリシーも打出し、分かりやすい広告表示ポリシーについても打ち出しをしていた。

------------------------------
景品表示法の趣旨に則り、お客さまに可能な限り誤解を与えないよう、広告制作時の留意事項をまとめています。
------------------------------

しかしながら、A社はC社の広告戦略に呼応するように事実誤認を促す広告表現などを実施してしまった。その後、消費者庁から景品表示法違反として認定を受けることになる。直後A社は、取締役の減俸のプレスリリースを発表して、その後で今後の対策についてプレスリリースを発表した。

さて、本来あるべきCSR対応としてはどのような形がただしかったのでしょうか?
本件に根ざす問題は深いものがあるとは思いますが、以下の2点は気をつけておかなければいけないのでは無いでしょうか?

1.情報の正しい開示
しばらく経ちますが、大手光学機器メーカーがインサイダー取引や粉飾決算を行い役員の多くが解任された事件がありました。同社は業界の中でもCSRを先進メーカーでこれまで立派なCSR関連の事業を多く行なっていました。CSR部門にも多くの人員を抱えていながらそのような事件を起こしてしまいました。役員の解任後、同社は「何故それがおこってしまったのか?」、「今後どのように防いでいくのか?」ということを詳細にCSRレポート特別編として編集し公開しました。

このことはリスクマネジメント・クライシスマネジメントとしては一流のものだったと思います。現状の把握、対策の策定、実行、今後の予定をまとめてCSR報告書にまとめる。こういう行為はなかなか素早くできるものではありません。ですが、CSRをよく理解している企業では常識の様に実施できます。

2.レピュテーションリスク
何故、CSRをよく理解している会社は素早い対応ができるのか?それはステークホルダーマネジメントという観点で事象をみつめることができるからです。CSRという行為全体の意味は、ステークホルダー、顧客しいては投資家に対して説明責任を持続的発展という観点で果たすことです。これを果たす事でレピュテーション(評判)をあげることにもCSRの意味はあります。反面でこれを達成出来ないとレピュテーションリスクとして企業に重く乗りかかります。

これまで企業の不祥事があった場合には時間経過と共に徐々に評判は回復するものだったように思えます。しかし、インターネットが普及した今、状況はかわりました。過去の不祥事はいつまでもアーカイブとして残ってしまいます。過去の事件に対して、正しく対応しなかったこと、その後の経過を報告していないことなどは克明に調べることができます。

今回のケースでは
事件発生以来の細かい事象を公開していなかった。
事件対応の発表の前に役員報酬の減額を報告した。
CSRページに同事件のことを記載しなかった。
事件後の対応をプレスリリース以外の方法で顧客に通達しようとしなかった。

というポイントが課題になっています。もし、事件が起きた時誰を裏切ったことになるのか?裏切った人に対してどのように素早く報告するべきなのか?というポイントをよく考えましょう。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

なにかご質問や御相談ございましたら、御気兼ねなく御相談くださいませ。

基本的に相談などに関しましては無料で対応させていただいております。ご質問やご相談はこちらから。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□