1.これまでの商業施設の販売促進

これまで商業施設が行ってきた販売促進は、メディアの変遷に合わせて実施され効果をだしてきた。2000年代前半まではラジオ・テレビ・雑誌のメディアミックスを行いながら、駅や電車の中吊りで補強する形で行われてきた。販促費に余裕のある企業は館内マップを定期的に更新したり、館内専用雑誌みたいなものを作成していた。効果としてはテレビが絶大な効果があり、テレビで放映された日の翌日から相当数のお客様が来店することはよくあった。

2.現在の消費者のメディア利用状況
1)テレビの状況
人々の生活スタイルは変わりつつある。まずもってテレビを見る時間が年々減っている。このことはNHKが調査をした結果としても明白になっている。
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/broadcast/pdf/150707.pdf
テレビを見ない層が全体の6%短時間視聴と言われる2時間未満の視聴者が38%これを考えると半数近い人がテレビを殆ど見ていない人になっている。そのテレビを使った販売促進は日々日々影響力が少なくなっている。

2)雑誌・新聞の状況
新聞の販売部数は2010年代に入り読売新聞でさえ1000万部を割り込みはじめ、朝日新聞はいまや800万部を割り込み5年以内に600万部を割り込む状況になりつつある。新聞メディアは各社毎年マイナス成長を維持する状況となっている。
雑誌についてはどの雑誌、漫画も軒並み発行部数を減らしている。なかにはVERYのようになんとか成長をする雑誌もあるものの稀なケース。
http://factboxglobal.com/japan-magazine

3)ラジオの状況
ラジオ視聴に関してはほぼ壊滅状態で40才以下の層に対してはほとんどリーチが出来ない状況になりつつある。総務省の調べによると10代20代は全体の0.4%しかラジオを聴いていない。この世代が活躍する10年後ラジオはどうなっていくのか本当に心配である。
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc253210.html

4)インターネットの状況
他方で動画サイトやインターネット閲覧の時間はどうかというと総務省情報通信政策研究所の調べによると年々増加していることがわかる。
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2016/01_160825mediariyou_gaiyou.pdf
その中でもSNS利用については全ての年代層において年々増加傾向を示している。

3.スマートフォンを活用した販売促進
1)スマートフォンの間違った販促
今やテレビを見ない、ラジオを聞かない、雑誌を読まない人が増加傾向にあることは前段で説明はした。そうなるとインターネットをつかわないといけなくなる。しかし、そのインターネットの中でも現在はスマートフォンが最もよく使われている閲覧機材になる。スマートフォンを使った販促というとアプリケーションをつくるという安易なことを考えがちだが、アプリケーション自体をダウンロードさせることが至難になってきている今、新しいアプリケーションをつかった販売促進ということは考えにくい。ダウンロードさせてもアプリケーションを起動させる仕組みをつくるのに手間暇がかかってしまう。その工数を考えると新規アプリケーションを使った販促は愚策ということがわかる。

2)既存のアプリケーションを使った販促
既存のアプリケーションといってもここではSNSアプリケーションのことを指す。SNSと一言で言っても利用者の属性が違う。若年層に強いのが、ツイッター。女性に強いのがインスタグラム。30代以上に強いのがフェイスブック。全般的に強いのがライン。どれか一つを取り上げてSNSの対策を打っても消費者に広くリーチすることは難しい。それぞれのSNSをうまく使い消費者にリーチしていかないと効果がなくなる。しかし、それぞれのSNSを日々毎時間見続けるということはほぼ不可能に近い。そこで弊社はSNS運用代行サービスを商業施設向けに実施している。

4.SNSを活用した販促
今現在SNSを活用した商業施設はあるが実は多くが死に体にある。その理由は手間がかかるということ。実務をしながらSNSを行うことは至難の業にちかい。それも複数のSNSに投稿していくとなると相当時間を取られてしまう。しかし、商業施設側は知らないが多くの出店テナントは積極的にSNSで情報を発信している。ひとつひとつのフォロワー数は少ないが合算すると相当数になる。彼らの投稿したデータを上手く活用しながら、彼らの投稿をフォローするように促したりすることも販促につながっていく。

5.商業施設が行うべきSNS運用方法
それぞれの出店者の情報発信をサポートしつつ、商業施設として告知すべき内容を消費者ひとりひとりに届くようにSNSを活用すべきである。炎上を恐れたり、消費者に対する対応を考えすぎたりすることで当たり障りのない情報を発信することもある。そういう当たり障りのない情報を消費者は求めてはいない。消費者は私だけに「特別な」情報が欲しいのである。それを届けることができるのがSNSであることを今一度知っていただきたい。