バブル崩壊後と同時に少子化高齢化が進んだ日本社会はそれまで潤沢な人口で支えられてきた内需も先細りの影が見え始めた。企業は企業の持続性を保つために、組織のリストラクチャリングを行い、終身雇用制度を放棄した。そのことにより、日本人のキャリアに対する考え方は年々多様化してきた。無論、転職斡旋会社の増加とともに人材が市場化し、雇用の流動化が進んだこともその一端を担っている。キャリア形成は益々多様化してきた2010年前後からノマドというワークスタイルがもてはやされるようになった。

ノマドってなんなのか?企業や場所などにとらわれず、自由に仕事をするワークスタイルのことを指している気がしています。物凄く「中二病」的でいて、「ポストモダン」な匂いがするせいか?若い方がノマドワークスタイルを実践しはじめていると聞きます。私は基本的に東京でも下町あたりでの仕事が多いものですから、ピンときません。しかし、城西や城南地区(品川・港・目黒・渋谷・新宿付近)のカフェでは若い方がマックブックエアーなどを小脇に抱え、カフェに入り浸り仕事をしていると聞きます。

それって健全なのか?私にとっては逃げ道にしか見えません。フリーランス的に仕事をするということは、スキルが伴わないとよろしくないように感じます。コネクションやネットワークをソーシャルメディアに頼るのは手段として間違ってはいないように思えます。ただし、ビジネスマンとして仕事をするためにはビジネスマンとしての基礎体力が必要になります。ビジネスマンの基礎体力とは組織の中で人に揉まれて身につく、組織人としてのスキルセットのことを指します。企業の中で年齢・性別多種多様な人たちの中でコミュニケーションを行うことで身につくものを指します。

そういったビジネスマンとしての基礎が無いのに、組織や場所にとらわれずに仕事をしてしまうのは、単なる逃げでしかないように思えます。しっかりとビジネスマンとしての基礎を築くことが若い方には必要なんではないかと思います。私も20代の時はよく、先輩におしりを蹴られたり、上司に3時間くらい説教を受けたりして、色々なものを学んだものです。そういう基礎があるので、クライアント様の企業文化が理解でき、クライアント様のご担当者様の立ち位置が理解できて、はじめてサービスの提供ができています。

家内制手工業、問屋制手工業、工場制手工業、工場制機械工業というモダンの流れを超えを踏まえた企業社会をこえてノマドがあると言いたいところですが、耳障りがいい言葉には常に問題がつきまといます。ノマドになる前にビジネスマンとしての基礎体力を!