消費税の増税とコロナショックは商業のあり方をミシリミシリと音を立てるように徐々に変えている。これまでのゲームのルールではなく、新しいゲームのルールが適用されつつある。小売の老舗巨大企業のレナウンが、和装の古着販売のたんす屋が民事再生手続きに入った。リアルで規模の経済性を生かした展開をしてきた企業が苦しい目にあっている。環境の変化による売上の急速な減退と多店舗展開による固定費の圧迫によるものだった。

他方で環境の変化によって売上を伸ばしている企業もある。一部のネット通販である。外出することを制限され、行き先が不明確になった状況で人々の消費性向は3月急激に減退していった。消費支出で前年の6%の減退であったが、ゲーム機は168%、書籍は12.3%の成長が見られた。いわゆる巣篭もり需要が高まっている。

この巣篭もり需要で勝ち組になったのは一部GMS、ドラッグストア。外に出かけることを前提とした商品と空間を必要とする商品については一気に売上が減退していった。そもそも外に出かけないのでアパレル・コスメ・服飾雑貨の売上は減退していった。しかし、4月末から5月頭にかけて気温もあがりアパレルなどの売上もネット通販で急激に改善されているところもある。

では緊急事態宣言が緩和されてからどうなるのか?A案としてはこれまで通りに戻り何もなかったかのように元に戻る。人はもともと集まるところにより多く集まる習性があるとした時、今回緊急事態宣言が緩和されてから徐々に戻るという案です。現実問題としては販売するものが中国などの製造地から届いていればいいのですがコロナの影響で物流が止まったり、製造ラインが止まったことが製品製造に影響を大きく与えています。

ではB案としては何が考えられるのか?新たなゲームのルールで商業を行うという案です。これまでのように人々は外出を楽しまなくなるという案。海外旅行よりも国内旅行。都心の百貨店よりもネット通販。安・近・短消費が強化されると間違いなく影響を受けるのはリージョナルショッピングセンター、大型の商業施設です。逆に客足が安定するのが地方の駅前商業施設やロードサイドのネイバーフッド型商業施設ということになります。

一番いいのはA案でいままで通りに戻っていくことが望ましいとは思いますが、Aに戻るまでの間数年間B案で動き徐々にA案に戻る事になっていくかと思います。もしかしたらA案に戻らずB案のまま進むことになるかもしれません。そのためにもB案の安・近・短で三蜜を避ける商業の形を模索することが商業人の生存策になるのかもしれません。