2016年もう8月に入りました。ここ半年でECモール界隈で起こった出来事と今後予想できることをまとめてみます。

■Y!ショッピング

順調な成長率

コマース21を買収

販促を抑え、適所に販促を投下

業界で言えば第三位。まだまだ業界二位の楽天との差は大きいもののものすごい勢いで追い上げをかけている状況。EC革命を起こすまでの期間と比較すると雲泥の差とも言うべき売上の状況。
今後、Y!IDおよびTポイントカードデータおよびLOHACOのユーザーおよびメーカーのデータを掛けあわせ、ネットでの個人ユーザーの購買動向分析およびリターゲティング・リマーケティングの精度を上げた広告開発が期待出来る。これが完成した暁には

・出店向けの広告バリエーションが増加

・メーカー向け販売促進広告のバリエーションを増加

・Y!トップのブランドパネルなどとの連動した広告メニュー増加

・ヤフープロモーション広告のテコ入れ

などが可能となり、Y!自体の事業構造変革にも繋がる可能性がある。
ただし、ビッグデータ分析システム構築にはヒラメキの部分が多い。このヒラメキを出来る非常に有能な人材を確保できるかが勝負になる。
EC事業者はイケイケどんどんでここはY!ショッピングに投資していくことが重要にはなる。ただし、5の日と爆買いの日以外の通常時の売上の構築には慎重にコストを見ながら対応することが必要になる。
■楽天

新規出店を強化

質向上に向けたモール内部のテコ入れ

間接費用の増大化

業界で言えば第二位。第一位とは抜きつ抜かれつの状況だったが、この半期で明白に抜かれた感が否めない。販促費を含めた間接費用を抑え、利益を増大化することにコミットしていたものの費用は増大化傾向にある。このことから計画通りに経営が進められていないことがわかる。EC事業に関しては代表者である三木谷氏の管轄として立て直しを図るものの、攻めあぐねている状況は続いている。
ここまで海外でMAした企業がうまく楽天と連動する形を取れず、MAした企業が不良債権化しているようにも思える。
楽天がするべきだったアクションとしては、ロイヤルカスタマーの強化であったので注力していた。しかし、Amazonおよびヤフーに流動顧客を取られており新規ユーザーを育成するという部分が弱体化していっている。楽天市場自体の新規ユーザーおよび非アクティブユーザーの活性化を早急に行わいのであれば、今後は楽天経済圏自体が徐々にシュリンクしていき、カードなど彼らが言うところのフィンテック部門もシュリンクしていく可能性もある。
楽天の正念場はまだ続くようにも思える。出店者に向けている目をユーザーに向けていかない限り、この苦戦は続くと思われる。ただし、EC事業者にとってはまだまだ楽天は巨大なモールであり、重要な売上の源泉であることは間違いない。どこまでどう楽天に力をかけていくのかについて、ある程度の中長期的な目線を持っての対応は必要に成るはず。
■Amazon

プライム会員増強

kindle unlimited開始

新規出店継続強化

既存の会員をロイヤルカスタマー化すると同時に新規サービスをローンチすることで新規会員を増強していくという盤石の戦略に取り組んでいる。ECだけ純粋に見ると最早、Amazon無双状態が今後も続くことが予想される。購買意思を持つ顧客を集め続け、その顧客をポイントではなく、利用しやすさという側面で囲い続ける仕組みを構築している。国内において全ての側面で顧客を維持管理できているところはAmazon以外に無いように思われる。
このまま進むとAmazonは日本市場において一人勝ちを進めていくことになる。EC事業者はAmazonとどう向き合い、戦うのかを考えることを今後より一層考えなければいけない状況になる。
また年末に再度考察を書いてみたいと思います。