以前2009年にトランスコンチネンツのことについて、オールアバウトプロファイルにてショートエッセイを書いた。それから数ヶ月後、株式会社ポイントはトランスコンチネンツブランドをクローズすることを決定した。2010年ポイントによる新生トランスコンチネンツは残念なことにクローズすることになった。

クローズの理由は売上の低迷一言に尽きる。

株式会社ポイントの平成20年2月期掲載のIRニュースの四半期決算資料を見ても一目瞭然である。同時に20年2月期の決算報告資料を合わせてみてもわかりやすい。ブランドの買取とブランドの再構築に相当なリソースを投入してトランスコンチネンツ再生にご尽力されたのがわかる。

このクローズは教科書通りの経営戦略だと私は思う。素早く種をまき、実らないのであれば素早く撤退する。非常に早い意思決定をなされているのがわかる。大変苦渋の決断だったに違いない。ただし、株式会社ポイントはこのクローズを経て、1000億円企業に生まれ変わっていった。クローズと同時期にCSR色を会社方針に打ち出し、社員のモチベーションコントロールにも相当力を入れられていることがわかる。

では、なぜ失敗したのか?

トランスコンチネンツの持ち味は良いも悪いもあくまでもセレクトショップだったことにある。世界中のそれこそ、ブランド名称通り大陸を超えて、いいものを集めて作った店がコンセプトだった。一方ポイントの持ち味はSPA。お客様の趣向性に合わせて、機動性良く顧客ニーズに対応してMDを変幻自在に変えていくスタイル。そうなんです。マーケットインとプロダクトアウトの融合ができなかったことにあります。

世の中が求めているのは、集めてきた商品を販売するスタイルではなく、「僕の」「私の」商品が欲しかったんです。既に株式会社ポイントはそういう業態で成功していたのですが、トランスコンチネンツを知っている世代はビームスやシップスと同じだろうという感覚でお店に来店します。でも、実情はポイントのSPA。マーケットニーズともずれていき、なかなか難しい状態になっていったんだと思います。

世の中は今、セレクトより自分が欲しい、自分にあった商品をリアルタイムでお届けしてもらえるお店を支持しています。トランスコンチネンツが再度復活するとしたら、相当な資本で相当なイメージ戦略で勝負しないといけません。

それでも、私はいつの日か「あの飛行機が大陸を飛び越えていく」シーンを見たいと思います。

つづく。

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