近年CSRについては以下のような基準があることはよく知られています。

ISO26000
GRI
多くの先進的な企業がGRIに傾倒してCSRレポートを作成していたのですが、一昨年くらいから大きな潮流としてISO26000ベースで作成をされています。ISO26000ベースで作成されたものを後でGRIではどのように対応しているのかをフォローする形になっています。GRIについてはガイドラインとして利用することで準拠した対応をすることが可能になります。このことで要求事項として対応しなくてもよくなります。他方でISO26000もガイドライン。CSR界隈はガイドラインだらけになっています。そのほうが自由度があって各社にあった形での表現が可能になりますからいいと私は思っています。

今年のトレンドとしては、人権問題に大きなメスが入るのではないかと思っています。数年前からレスポンシブルソーシングやエシカルソーシングなどのように調達を倫理的に正しい形でおこなうべきだと言われてきましたが、最近ではソーシングが人権問題に抵触する可能性があることが多いことからソーシングをしっかり対応することで人権問題・課題に対応しているとアピールすることも可能になります。そもそも奴隷的に人的資源を活用する企業にはCSRもなにもあったものではないので、この流れは大きくなるべきだと思っています。

同時にソーシングだけではなく、LGBT関連についても脚光をあびるのではないかと思われます。これについては、日本国内でも相当数性的なマイノリティは存在しているにも関わらず救済措置や彼らが働きやすい職場づくりをしてこなかった経緯もあります。カミングアウトしずらい、カミングアウトされてもどのように対応していいかわからないという企業も多かったのですが、徐々にどのように一緒に働くべきか?どのようにしたら働きやすい環境がつくられるか?などのセミナーや議論が公でされるようになりつつあります。

CSR観点ではなく、日本自体の社会課題を解決するという観点でCSRを考えた時に以下の問題・課題がまだ山積しているので各企業が経済合理性に則って企業活動を通じて解決していくことが望まれている。

1.オリンピック開催
2020年までに健康増進などを含めて企業の対応がのぞまれる
2.人口問題
少子高齢化社会において、高齢者のセーフティネットと高齢者の社会参加が望まれる
3.環境問題
オリンピックに向けて水素エネルギー活用が進められているが、エネルギー問題だけではなくCO2削減や生物多様性保全に向けて各企業が一歩進んだ対応をすることが望まれる
4.ブラック企業
もはやブラック企業がなくなることは、社会構造的に無い。しかし、ブラック企業と取引を停止することは各企業ができるのではないでしょうか?ということでソーシングでブラック企業排除を行う
5.女性活躍推進
女性だけをとりわけ、取り上げて活躍しやすい仕組みをつくることを現在国家戦略として進められていますが、子供から老人そして男女問わず多方面で活躍できる仕組みづくりが求められています。この点についてはCSRの労動と人権に分野で大きく関わっています。

大切なのはこれらの課題や問題をガイドラインに書いてあるとおりにやるのではない。それぞれの企業ができる範囲で、それぞれの企業らしい活動で対応すべきかと思います。そういう企業が評価される世の中になるべきではないかと思います。もちろん社会的なインパクトが大きいことをするのは偉いですが、それ以上にできる範囲でやれることをすることは重要かと思います。